いま、バイクパッキングが熱い
何をきっかけとしてロードバイクを始めたのでしょうか。
そう問われたとき、おそらくそこそこの割合の方が「(車などの文明の力に頼らず)自分の力だけで遠くに行けること」と答えるかもしれません。
まあ、僕もその一人です。
「自転車で旅」。もうこの言葉からはロマンしか感じません(笑)。
「自転車で旅をする」というと「ランドナー」と言われる、ジオメトリをエンデュランスに振り、ホイールやギアなどの装備も長距離・長時間の走行や耐久性に特化した自転車に、リアキャリアやフロントパニエなどにがっつりと荷物を積んで行く、というイメージが強いでしょう。
が、近年は「いかにも旅行用自転車」というものを組み上げるのではなく、普段乗っているロードバイクに簡単に荷物を積めるようにして旅行に行く「バイクパッキング」がブーム。
むろん、長距離走行用にタイヤの空気圧とかパーツのセッティングなどは微調整する必要があるのだろうけれど、バイクパッキングとは「基本的な装備はいつものロードのままで、取り外しが可能な大容量バッグを活用して旅に出ること」と、僕自身は解釈しています。
「自分の力だけで遠くへ」という考え方とも調和しやすいし、個人的に大好きなブランドであるRaphaが掲げる「Pack Light, Travel Far」のメッセージにも通じるものがあります。
バックパックを背負ったライドは結構しんどい
以前、しまなみ海道に旅行した際には、4日分ほどの荷物が入ったバックパックを背負ったまま、松山空港から今治市内までライドしました。約70kmほどの行程だったのですが、終盤は肩も腰も凄まじい披露が襲ってきて、かなり大変な思いをしました。(しまなみ本番は佐川急便の「てぶらでサイクリング」を利用したので、荷物は最小限で済みました)。
それ以降、ロードで旅行する際には、途中洗濯前提で荷物を極端に減らしてバックパックに詰めるようにしていましたが、それでもやはりバックパックを背負うライドはそこそこダメージが残ります。
バイクパッキングが盛り上がってきたことで、普通のロードバイクに沢山の荷物を積載させる選択肢や環境がかなり揃ってきたという印象を受けます。
そこで、今年の夏休みに企画している「函館〜札幌ライド」(260km・獲得標高2,500m)に向けて、バイクパッキングの環境を整えてみることにしてみました。
行程は1泊2日・その荷物
現時点での行程はこんな感じです。
- 1日目:新幹線で家族とともに函館入り、観光を楽しんだあと家族は青森に戻り、僕のみ函館市内のゲストハウスに宿泊
- 2日目:朝5時に函館を出発、260kmを走破し夜9時までに札幌へ到着・札幌市内のゲストハウスに宿泊
- 3日目:輪行で札幌から新青森まで移動し、自走で拠点となる義父の家へ
てな感じですね。
最悪のケースを考えつつ、この行程を完遂するための荷物を揃えてみました。
ライド当日のウェア類
函館への移動日は家族と観光なので、流石にサイクルジャージとビブショーツというわけにもいきません。が、当日は距離も標高もそこそこあるので、しっかりとサイクルウェアで揃えたい。
- Rapha RCC Proteam Aero Jersey
- Rapha Crit Proteam Bibshorts
- Craft スーパーメッシュベースレイヤー
- サイクルキャップ(頭汗がすごいので必須)
- Rapha Brevet Glove
- ソックス(当日+予備)
まあ、これはあくまで輪行時にサドルバッグに入れる予定なので、ライド当日は身につけている形。
そのかわりに、函館移動日の洋服が入ることになりますが、こちらのほうがボリュームは少ないので問題ないでしょう。
レインウェア類
流石に台風直撃ならDNSかもしれませんが、普通の雨なら決行予定。
そのため、ある程度はレインウェアの類も用意しておかなければなりません。
- 少量のにわか雨予想:Rapha Brevet Flyweight Wind Jacket
- 少量雨予報:Rapha Packable Rain Jacket
- がっつり雨予報:Rapha Packable Rain Jacket+Rapha Overshoes
「降ったりやんだり」もしくは「途中ちょっと降るかも」ぐらいであれば、夏なのでウインドブレーカーだけで凌げるかと。
雨が降り続くようならレインジャケットは必要かな。
雨が大量に降るようなら、レインジャケットに加えてオーバーシューズも。
できればウインドブレーカーだけにしたいが、最強の雨男の運命やいかに。
工具類・タイヤ周り
北海道ともなると都内よりも格段に補給ポイントが減ってしまうので、ダブルボトル体制は必須。
そのため普段ツールケースに入れてボトルケージに収納しているものも、サドルバッグに移動します。
成木峠・仁田山峠で痛い目にあったばかりなので、万全を期して、
- 替えタイヤ(Panaracer Elite Plus)
- チューブ (2本)
- タイヤブート
- チューブパッチ
- タイヤレバー
- マルチツール
- CO2インフレーター+ボンベ2本
- 携帯ポンプ
- ワイヤーロック
流石に多すぎかなと思うのですが、成木峠・仁田山峠で置かれた環境をクリアするにはこれぐらいは必要。
しかも最短でパンク修理などに対応できるように準備しています。
あと、写真には写っていないけどクイックリンクも装備予定。
これでだめなら素直にDNF、ロードサービスを呼びます…。
その他
まだまだ荷物が必要。
- 輪行袋 (オーストリッチL100)+エンド金具
- タオル類(IKEA Familyのは3本入ってこのサイズでとても優秀)
- ミュゼット(日本語ではサコッシュ)
- USBチャージャー+ケーブル
- CATEYE VOLT400用予備バッテリ
- モバイルバッテリ入れ兼財布(Rapha Lightweight Essential Case)
函館までと、札幌からの帰路は輪行なので輪行袋は必須。込んでいる電車だと間違いなく縦型輪行袋になるだけど、北海道新幹線は意外と空いているみたいなので、モンベルのコンパクトリンコウバッグにしようかと企んでいます。自転車収納後のサイズは大きくなってしまうけど、軽くコンパクトなので。
エチケットのためにもタオルは必須。お風呂も入るしね。
ミュゼットは輪行時の手荷物入れに。
走行が10時間を超えるので、GARMIN Edge 820Jへの給電用にモバイルバッテリーは必須。ゲストハウスで各種デバイスの充電用にチャージャーとケーブルもほぼ必須。
とまあこんな感じで、思い当たるものをひたすら用意してみた。
おそらくここから取捨選択し、かつ追加になるものも多々あると思われますが。
Blackburn OUTPOST SEAT PACKを購入
概ね荷物の目星がついたところで、一旦手持ちのバックパックに詰めてみて、どの程度の容量が必要化を考えてみました。
デッドスペースができないように詰めていくと、10リットルのバックパックでも十分入ります。
となると、10リットル前後の容量があるサドルバッグであれば、十分積載が可能そうです。
アピデュラやレベレイトデザインなどの有名どころをはじめ、検索するといろいろと出てくる大型サドルバックの中から、結局選んだのはこれ。
BlackburnのOUTPOST SEAT PACKでした。
決め手となったのは、
- 完全防水(のドライバッグがついてくる)
- バイクから離れるときには、ドライパックだけを簡単に外して持ち運べる
- そのため、輪行袋に収納時も邪魔にならない
の2点。
大型サドルバックは、サドル後ろから上に伸びる形になるため、輪行袋に収納したときに問題になるケースが多いようです。
外してリュックになるような製品もあるようですが、そもそも重い荷物をがっちり固定しないとダメ=取り付け・取り外しもそこそこ大変なはず。
その点、BalckburnのOUTPOST SEAT PACKは外装部とドライパックとに別れており、荷物は後者に収納。このドライパックを前者でバイクに固定する、という2点構造になっています。
初日の家族との観光時には、ドライパックだけを持ち歩いて観光すればよいし、輪行袋に収納する際もドライパックだけを外せばOK。
かなりお手軽に感じました。
そして、雨でも走ることを決めているので、完全防水である点も見逃せません。
というわけで、細かく写真でご紹介します。
外装部
シートポストとの固定部分は、かなり幅のあるベルクロが2本。粘着力も強力です。
ポストと接触する部分はゴムのような材質になっており、滑り止め効果と防水効果を発揮しそうです。
また、ポストへの擦り傷なども予防してくれそう。
容量に合わせて荷物を締め込むバックルが2本。
重い場合は、この2本をサドルレールに通すことで、よりがっちり固定される仕組みです。
軽ければ、サドルレールに通さずともしっかり固定が可能っぽい。
背面には2本のバックルが。
長さ調節のスライダーも、ロックが掛かりガッチリと固定される仕組みです。
リアライトなどを通せるナイロンバンドが2本縫い込まれています。
裏面は、デニールの厚いナイロン製。
防水性はちょっと?な生地感ですが、そのへんはドライパックが担当する部分なのでしょう。
サイド部分は、耐水加工(がされているっぽい)ナイロンに反射性のBlackburnロゴ。
外装部は全体が黒〜灰色基調ですが、内部は鮮やかな赤です。
ここに、ドライパックをぶっ刺して背面部で巻き上げて固定する、という仕組み。
ドライバッグ
荷物を収納するドライバッグ。
写真では分かりづらいですが、若干引き気味になるほどの大きさ。
写真はiPhone 7 Plusとの比較です。
完全防水を謳うだけあって、ドライバッグバッグ内側の生地はナイロンというよりもむしろゴムに近い感触。
外側は、さらっとしたナイロンの手触り。
重量計測
スペック上、516gと記載されています。荷物が重くなるため、バックはできる限り軽いほうがいいに決まっていますが、さて実測はいかに。
ドライバッグは135g。
外装部は366g。135+366=501gで、誤差を考えるとほぼスペック通り。
荷物を全部詰めてみた
というわけで、先程の荷物をすべて詰め込んでみました。
実際には、重量のバランスなどをしっかり考えて詰めないといけないのだけれど、今回はとりあえず雑多に放り込んでみた感じ。
全部入った上で、まだ若干の余裕がありそう。
もっとしっかりと詰めば、まだまだ入るでしょう。
バイクに取り付けてみた。
かなりの存在感。
ちゃんと固定するためには、まずドライパック内の重量配分に気を使う必要がありそう。
ポストに近い位置に重いものを入れ、外に行くに従って軽いものにしていくことで、ダンシングの際に引っ張られることも少なくなりそう。
また、ドライパックの外側が柔らかいと外装部のバックル類を強く引くことができるので、その分バイクに固定されるようになります。
重量がそこそこあるので、今回はシートポストとサドルレールx2本に分散させてバッグを固定しています。
追加でOUTPOST TOP TUBEも購入
先程も書きましたが、ライド中はサイコンへの給電は必須。
また経験上東北は国道沿いでもコンビニなどが少ないため、大量に補給食を用意しておく必要があります。
そのため、それらを収納するようにトップチューブバッグも購入しました。
同じくBlackburn製の、OUTPOST TOPTUBE BAGです。
フォークコラムとトップチューブ2点のベルクロでバイクに固定します。
前が高く、後ろに行くに連れて背が低くなっていくサイズ。
蓋になる部分には縦に長いポケットが有り、雨が降っていなければここにモバイルバッテリーを入れてサイコンに給電できそう。
容量は小さいですが、左右にポケットが有り、左側には止水ジップ付き。
内部はSEATBAGと同じく赤で統一。
カメラバックによくあるベルクロ付き仕切りで、中のレイアウトを自由に変えられるようになっています。
高さとしては、iPhone 7 Plusの半分ほど。
スペック上の容量としては1リットルとなっているので、小さめのサドルバックぐらいの収納力。
補給食+αを収納する分には十分な容量かな。
重さは227g。容量比でいうとかなり重いですが、防水性と振動吸収を考えれば仕方のないところか。
というわけで、SEAT PACKとTOPTUBE BAGを両方装着してみた。
おお、なんかそれっぽい。
あとはもう少し荷物の吟味と詰め方の工夫を考えなきゃね。
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