前回ご報告したとおり、Cervélo R5 DISCは落車でシートステーを破損、カーボンドライジャパンで補修を依頼しています。余計な消費といえばその通りなんですが、バイクのオーバーホールの機会を得たと前向きに捉えることにしました。
自然治癒を待つしかない肋骨を折っていることもあり、運動系はな〜んもできないんですよね。なので、せっかくフレーム単体までバラしたので、ハンドル以外は完全にバラバラにして、清掃&グリスアップをば。
HUNT 35 CARBON AERO DISC WHEELSET
さて、Cervélo R5 DISCのメインホイールとして、ぼくはイギリスのホイールビルダーであるHUNT社の『HUNT 35 CARBON AERO DISC WHEELSET』を使っています。このホイール、かなり気に入っています。
- カタログスペックで1352gと、とにかく軽い
- 登りでも平坦でも使いやすい35mmのリムハイト
- その上11万円程度とかなりお値打ち価格
- それなりによく回る
まあもちろん、リムハイトが高い方がかっこいいんですが、ぼくは175cm60kgで意外と軽量級気味。RIDLEY FENIXで使っていたReynoldsのAssault 41というホイールでも横風にあおられることがたびたびありました。走りに行くのも山方面に行くことが多いので、ぶっちゃけリムハイトが高いホイールって出番がない。リムハイト35mmはちょうど使いやすいサイズなんですよね。
軽さとリムハイトを求めると、必然的にスポークがカーボンスポークになってくるんですが、そこはただでさえ「固い」といわれるCervélo R5。ステンレススポークで1,300g台にまとめられているこのホイールは、個人的にベストチョイスだと思っています。
HUNT WHEELのメンテナンス
さて本題。フレームを修理している間に、ホイールのメンテナンスをしちゃいましょう。
リアホイールのハブの分解
ドライブサイド(フリーボディが付いているほう)とノンドライブサイドのキャップには、それぞれ切り欠きがついています。
この切り欠きに対応する工具は、薄型の17mmのスパナ。これが2本必要になります。
この2本を使い、片方を抑えながら片方を回すと、キャップが取れる形です。
実際にスレッドが切られているのはノンドライブサイドのキャップになるため、ドライブサイドは抑えにして、ノンドライブサイドをくるくる回していくと簡単に取れますね。
ここのトルク指定は特に書いていませんが、そんなに高トルクで取り付けられていませんので、くるっと回ります。
キャップが取れたら、フリーボディを引っ張ればハブ軸ごと引き抜くことができます。
フリーボディーとハブ軸が外れたら、ハブ軸をフリーボディから引き抜きます。これでハブ周りは概ねバラし完了。かなり簡単ですね。
HUNTのハブの構造
HUNTのハブ=Race Season SPRINT straight-pull hubsは、DT SWISSがいうところのスターラチェットや、MavicのID360などとは異なり、安価なハブによく使われている3 Pawls 方式。ようは、3つのラチェットがフリーボディに付いていて、これがハブボディ側に刻まれたギアにかかることで推進力を得る、と。
カンパニョーロのホイールでは、このラチェットのツメを立てる機構が細いラチェットスプリングで構成されていたりするのですが、HUNTのハブは板バネ。うん、板バネのほうが耐久性はありそうだ。
ハブボディ側にはかなり細かなギザギザが刻まれており、このギザギザにラチェットが絡んで動力になるわけですね。
ちなみにこのギザギザの数がポイントで、コレを細かく刻むことでラチェットがおよそ7.5度の角度で引っかかるようになっていて、踏んだ力が動力に変わるまでのタイムラグを少なくしているんですね。
DT SWISSの技術解説ページにスターラチェットの仕組みが記載してありますが、既存の技術を応用しながらラチェットが噛む部分を増やせるので、部品の点数も少なくなるし、コストカットにも貢献していますね。
まあ、その副作用として、HUNTのハブはかなりラチェット音がうるさいです。まあ、うるさいほうが好みという人が多いようですが、夜に自宅でメンテしているときとか、「うるせーな」と思ったりもします。
HUNTのハブをグリスアップして元に戻しましょ
ここまでばらしてきれいにして、構造まで分かったらすっきりしました。あとはグリスアップして元に戻しましょう。
シマノからフリーハブ用のグリスが出ているので、それを使います。ぶっちゃけ何でもいいと思うんですが、回転する部分なので、あまり抵抗にならないさらっとしたものがいいのかな、と。
ちなみにデュラグリスは透明の黄色ですが、フリーハブ用グリスは白濁したグリスです。50gも入っているので、いつ使い切るやら…。
このフリーハブグリスを、ハブボディ側に塗ったくります。ここのグリスが多ければ多いほど音は静かになりますが、100kmも走ると音は元通りになっちゃいますし、フリーボディを取り付けると溢れてきて、結果埃や砂を付着させるだけなので、まあほどほどにしておきましょ。
フリーボディ側も、ラチェットと板バネを中心にグリスを塗ります。特にこの板バネの部分はサビに弱そうなので、まんべんなくグリスを塗りました(板バネ、掃除した後水分を含んだウェスで拭いたら、その水分だけで若干サビが出てました)。
ついでに、ハブ軸も薄くグリスアップ。ここもあくまで保険的になので、薄くでいいんじゃないかと。
ここまでやれば、あとは逆の手順で組み立てていきます。
ハブ軸をフリーボディーに通し、それをハブボディに通し、ノンドライブ側のキャップを閉めるだけですね。
写真にもあったように、シールドベアリングなので、シールをめくってグリスアップはしていません。シールドベアリングの場合、素直に交換すべきというのがぼくの考えです。むしろベアリングをダメにしないよう、すくなくとも1年に1回はオーバーホールをして大切に使った方がいいんじゃないかと。まあその意味では、同じメンテナンス頻度であれば、カップ&コーンのほうが長持ちするんじゃないかな。
HUNTフロントホイールのメンテナンス
フロントは、フリーハブやラチェットなどの構造がなく、アクスルを通すためのハブ軸とベアリングだけの簡易な構造になっており、工具いらずで分解できます。アクスルキャップを引っ張ればベアリングがこんにちは。
ベアリングの耐水性だけを確保できればいいので、一度念入りに古いグリスを拭き取り、新たにグリスアップしておきました。
なお、フロントはハブ軸を外すところまでアクセスしませんでした。おそらくですが、機構上はどちらからゴムハンマーとかでたたき出すかたちになるのではないかと思われます。
おまけ:愛用している中華・ZTTOスプロケ
ホイールのメンテナンスとは直接関係ないんですが、おまけで愛用しているスプロケについても記載しておきます。
ハンドルやステム、サドルなどは安い中華製のモノがけっこう市場には出ていますが、基本的にそういうパーツは使わないようにしています。が、スプロケだけは別で、ぼくはZTTOという中華スプロケを愛用しています。その理由をば。
軽い!
その理由として、とにかく軽い。ぼくは11-32Tといういわゆる乙女ギアを愛用しています(いいわけですが、その分フロントは52-36です)。この構成でシマノ純正だと、重量が292g。それに対し、ZTTOのスプロケは215gと、80gも軽いのです。ロックリングも紫色でアクセントに。
なぜ軽いのかというと、ばらけるのは11T、12TだけであとはCNCの一体成形のようです(たぶんロー側3枚はスチールだと思うけど)。
歯数が違って使いやすい
もちろん軽いのはいいことなんですが、一番の理由はコレ。歯数構成が違うんですよね。
メーカー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
SHIMANO | 11 | 12 | 13 | 14 | 16 | 18 | 20 | 22 | 25 | 28 | 32 |
ZTTO | 11 | 12 | 13 | 15 | 17 | 19 | 21 | 23 | 25 | 28 | 32 |
平地巡航では、4段目から7段目あたりをよく使うのですが、そのあたりの歯数構成が、ZTTO製のスプロケは1T少ないんですね。特に顕著なのが4段目なんですが、この「よく使う段数」が1T違うと脚への負荷が大分違うんですよ。25T、28Tはいわずもがな、登りでよく使う歯数なので、ここが同じなのは助かるし(ちな、これもいいわけですが、32Tは15%以上の斜度でしか使わない奥の手ですヨ)。
変速への影響も皆無ですし、ZTTOのスプロケ、オススメですよ。
コメント