前回の写真レビュー&重量計測に続き、コンポ交換作業のまとめをお送りします。
まず最初に、交換が必要なパーツを全部取り外します。
ディレーラーの取り外し
順番はどうでも良いのだろうけど、STIを取り外すには、ケーブルのワイヤリングをすべて解除する必要があります。
そのため、ディレーラーから作業していったほうが効率が良さそう。
フロントディーレーラーの取り外しには、一度チェーンを切る必要があります。
ふだんからミッシングリンクで運用しているので、このあたりは気軽に切れてしまいますね。
メンテナンスも楽になるので、ミッシングリンクはオススメです。
取り外しには専用工具が便利です。
チェーンさえ切ってしまえば、フロントディレーラー、リアディレーラーの取り外しは簡単。
- インナーエンドキャップあたりでワイヤーを切断
- ケーブル固定ボルトを緩め、ディレーラーからワイヤーを取り外す
- フレームに固定しているボルトを緩め、フレームから取り外す
で、サクサク作業を進めていきましょう。
STIレバーの取り外し
STIレバーを取り外すためにはバーテープを全部剥がす必要があります。
これまで使っていたbtpのバーテープ、柄は気に入っていたのですがクッション性が乏しく、右手首に持病を抱えている僕には少し合わなかったかな。
なんだかんだとバーテープはよく変えるので、値段の安いDeda Elementiの「ミストラルバーテープ」を新たに用意しました。
バーテープを剥がした後は、STIレバーの取り付け位置を写真で記録。
fizi:kのハンドルには、STIレバー取り付け位置のメモリが付いているので、これを目安にしてST-R8050を取り付ければハンドル周りのポジションはほぼ変えずに変更が可能です。
バーテープを剥がし終わったら、シフトケーブルとブレーキケーブルとをハンドルに固定しているビニールテープを剥がし、残った糊などのベタつきをパーツクリーナーできれいにしておきます。
ついでに、ふだんは外すことが少ないライトのブラケットやサイコンマウントのたぐいも外し、ハンドル周りの掃除もしておきました。
全体の配線イメージを確認
各種DI2パーツの取付は、マニュアル通りに行うのがベスト。
シマノは作業者向けに「ディーラーマニュアル」を用意・公開しています。
R8050シリーズのディーラーマニュアルはここにおいてあります。
ページ数が多いので、iPadなどで表示するよりも印刷して手元においておいたほうが作業がはかどります。
いろいろとバリエーションがあるので分かりづらいのですが、RIDLEY FENIXの場合は、内蔵バッテリータイプを利用した内蔵仕様で、バーエンドではないものがその接続イメージに該当します (マニュアルの25ページに記載)。
不要な凡例を外し、すっきりさせてみました。
この配線イメージを頭に入れながら、作業を進めていきます。
STIレバー・ST-R8050の取り付け
マニュアルで言うところの「デュアルコントロールレバーの取り付け」作業です。
取り付け自体はなんてことはない作業で、先ほど取り外した位置に新しいST-R8050を取り付けます。
ブラケットをめくり、出てきたクランプボルトを5mmのアーレンキーで締め込むことで完了です。
マニュアルでは、STIを取り付けた後ブレーキケーブルを通すように書いてありますが、ブレーキワイヤーとエレクトリクワイヤーをハンドル下に沿わせて最終的に固定するため、ブレーキワイヤーを通すのはエレクトリックワイヤーの接続と同じタイミングのほうが効率が良いです。
ので、とりあえずはSTIレバーだけを取り付けて次の段階へ。
フロントディレーラー・FD-R8050とチェーンウォッチャーの取り付け
続いてはFDの取り付け。直付タイプですので、手順としては、
- サポートプレートの貼り付け
- フレームのFD取り付けステーにFDを仮固定
- チェーンリングとFDの羽の隙間が1〜3mmになるように高さを合わせる
- チェーンリング上から見て、FDの羽の後方が少し中に入るように角度をつけて固定
- サポートボルトを締め込み、FDの羽とチェーンリングが平行になるように調整
という感じ。
今回は、FDの交換に合わせてチェーン落ちを防止するためのチェーンウォッチャーを導入しました。
チェーンフォールプロテクターやチェーンキーパーなどとも言われるパーツで、要はインナーに落とした際に、チェーンがフレーム側に落ちないように隙間を埋めてしまうパーツです。
インナーからチェーン落ちをすると、必然的にフレーム側にチェーンが落ちます。
そのまま回したりしたら、チェーンがフレームの上で「ガリガリッッッ」となり、傷まみれになること必須です。
実はFENIXの組立時に導入をしようとパーツを用意したのですが、なんと大きさが合わずつけられなかった、というオチ。
安物買いの銭失いでした。
今回は、ちゃんとしたメーカーのものを用意、K-Edge製のチェーンウォッチャーです。
アルミで軽量、外見も安いものよりもきれいに仕上げてあり、満足感に浸れる一品です。
重さは16g、まあほぼ誤差の範囲でフレームを防御する安心が得られるパーツ。
FDの固定ボルトに巻き込んでネジ止めをする形なのですが、これがまたやりづらいのなんの。
固定ボルトを回すと、チェーンウォッチャーも同時に動いてしまう。
チェーンが落ちないようにギリギリ接触しないような取り付け位置を出さないといけないので、その調整に難儀しました。
が、なんとか取り付けが完了。
うん、見た目もGood。
リアディレーラー・RD-R8050-GSの取り付け
リアディレーラーの取り付けは簡単。
ディレーラーハンガーの爪とディレーラーの位置に注意しながら、5mmのアーレンでボルトを締めるだけです。
ちょちょいのちょいで取り付け完了。
電装系パーツの取付
これでSTIレバーとディレーラーの取付が完了しました。
ここまでは機械式のコンポでも普通にやる作業なのですが、ここからは未知の作業、電装系パーツの取付です。
ジャンクションA・SM-EW90の取付
まずは、STI周りのエレクトリックワイヤーをまとめると同時に、バッテリーの充電やPCとの接続などのインターフェースも提供してくれるジャンクションAの取付です。
このパーツはステムの下にゴムバンドで止めることになります。
ゴムバンドは2本入っており、1本は予備。固定の仕方ですが、しばらく悩んだのだけれど、「がっちり固定できる最低限の長さでゴムバンドを切る」が正解。固定ブラケット左右の爪とゴムバンドの穴とを引っ掛け、固定します。
取付後、試しにケーブルを接続してみた。
横からのショット。
前からのショット。
キットに付いてきたSM-EW90-Bは5ポートのもので、当面使うのは左右STIからの配線の引き込みと、フレーム内のジャンクションBへの接続の3回線のみ。2ポートは余りなので、ダミープラグを刺したままにしておきます。
ここにスプリンタースイッチなどを増設が可能です。
ちなみにSTIにはこんな感じでエレクトリックワイヤーを接続し、ジャンクションAとを結線します。
エレクトリックワイヤーの内装
さて、ここからが一番の難所、エレクトリックワイヤーをフレーム内を通していきます。
RIDLEY FENIXの場合、フレーム購入だとDI2用のグロメット(ケーブル内装用のゴムパッキン)がついてくるようです。
完成車で買った場合には付属しない場合もあるんだとか。
ヘッドチューブに空いている前後シフター向けのワイヤー引込口のうち、一つは利用しないので、穴の空いていないグロメットで塞いでしまいます。リアディレーラーのシフトケーブル引込口にはDI2エレクトリックワイヤー用のグロメットを取り付け。
また逆に、機械式ではFD取り付けステー部にあるDI2用の穴は蓋となるグロメットで塞いでいましたので、これをDI2用の穴あきグロメットに交換。
リアディレーラー側には特にグロメットはありません。
以下の4箇所からエレクトリックワイヤーを挿入しておき、BB付近でジャンクションBと結線する形になります。
- ヘッドチューブのケーブル引込口
- フロントディレーラー取り付けステー部の引込口
- シートポスト差し込み口
- リアディレーラー付近のケーブル引込口
上の3枚目の写真にもあるように、最初はBBを取り付けたまま作業ができるのでは?と踏んでいました。
FENIXは、BB下に機械式ケーブルを出す口が空いており、ここからすべてのエレクトリックワイヤーを一旦外に出し、ジャンクションBを結線した後フレーム内に戻せるのではないか、と。
が、いろいろと試した結果、「軟体動物でもない限り無理!」という結論にいたり、結局BBを一旦取り外しました。
FENIXはPF30という規格のBBで、PF=Press Fit=圧入式ということになります。
KCNCのフレーム内部でスレッド結合するタイプのBBを利用してはいるものの、破損のリスクなどを考え、圧入式のものはできる限り取り外し回数は少なくしたいのですが…。背に腹は変えられず、慎重に取り外しました。
あ、脚が写っちゃった、失礼。
結線後は、BBの取り付けでじゃまにならない位置にジャンクションBを押し込み、再度BBを装着しました。
やはりこのエレクトリックワイヤー内装の作業が、今回一番の難所でしたね。
バッテリー・BT-DN110をシートポスト内にインストール
内装キットですと、バッテリーはシートポスト内にインストールすることになります。
マニュアルには「シートポストカラー」がどうの、と記載してあるのですが、僕が使っているシートポスト fizi:k Cyrano R1カーボンシートポストにはそんなものはない。
付属しているカラーなどをいろいろといじってみたのですが、何をやっても固定できず、結局は別のパーツ「DI2バッテリーホルダー」が必要であることが判明しました。
こんなパーツです。リンクは31.6mm径のものですが、細いシートポスト用のものもあります。
このパーツでバッテリーを挟み込み、シートポストのお尻から端子が出るようにぶっ刺します。
バッテリーのインストールが終了したら、シートチューブから出したエレクトリックワイヤーとバッテリーとを結線し、シートポストを固定していまいます。
また各部から出たワイヤーも、前後のディレーラーとジャンクションAにそれぞれ結線し、無事にワイヤーの結線作業が完了です。
ワイヤレスユニット・EW-WU111の取り付け
ワイヤレスユニットは、DI2をスマートフォンやタブレットなどと無線で接続するためのパーツです。
これはどこに入れても良いようなのですが、僕はジャンクションA-ジャンクションB間に入れました。
まあ、王道的な入れ方のようです。
プラプラするので、付属のブラケットを使い、ブレーキアウターに固定するのがよいようです。
ハンドル周りのケーブル取り回しを決める
さて、ここまでできればあとは簡単。最後にSTIとブレーキを接続し、STIからジャンクションAまでのエレクトリックワイヤーとブレーキケーブルとをハンドルに沿わせて固定し、バーテープを巻いてしまいます。
マニュアルには、エレクトリックワイヤーに不意のテンションが掛かって脱落したり、断線したりするのを予防するため、STIのワイヤー接点あたりで余裕をもたせて取り回すように記載がありましたので、こんな感じにしてみました。
またこれを機に、ブレーキの設定を「左前・右後ろ」というヨーロッパパターンに変更しました。
このほうがケーブルの取り回しが美しく決まるので…。
ハンドルを切ってもテンションがかからないぐらいの長さにアウターの長さを調節し、STIにインナーケーブルを通し、それをアウターに入れてブレーキ本体と結線します。
その後、ブレーキアウターとSTIから出るエレクトリックワイヤーとをハンドルにビニールテープで仮固定します。
シフトワイヤーのように頑丈なアウターで守られていないのがエレクトリックワイヤーなので、ハンドルをぐっと握ったときに力が伝わらない位置にケーブルを添わせるようにしたほうがいいでしょう。
ブレーキアウターのほうが一回り太いので、これに沿わせて内側に入れてあげることで、華奢なエレクトリックワイヤーに力がいかないように配慮しました。
ここまでできれば、後はバーテープを巻くだけ!
というわけで一丁上がり。
チェーンを張り、ほぼ完成
詳しくは調整編で書く予定ですが、結論から言うと、この時点でチェーンを取り付けてしまって問題なしです。
機械式だと、チェーンを張る前にアジャストボルトでリアディレーラーの可動範囲をある程度決めてしまう作業が合ったのですが、これはどうもDI2にはいらない模様。
マニュアルには、チェーンの取り付けの前にリアディレーラーの調整の項目があるせいで、かなり迷ってしまいました…。
というわけで完成図をば。
ハンドル周りは、ケーブルの存在感が薄れ、スッキリした印象。
ハンドル上から見ると、ケーブルがほとんど見えないのも素敵。
リアディレーラーまわりもケーブルの存在感が薄れています。
頭でっかちなフロントディレーラーも違和感なし。
この後に函館札幌ライドが控えているので、バーエンドにはキャットアイのリアライトを装着。
全体像はこんな感じになりました。
DI2化作業まとめ
「バイクを電動コンポ化したいけど、ハードル高そう」と思っている人も多いかもしれません。
ぶっちゃけ、僕もその一人でした。
正直組付け自体の難易度はそこまで高くなく、その後の調整も含めればDI2のほうが全然楽だと思います!
組んでしまった後から思うに、「自分のバイクをDI2にする場合は何が必要なの?」を解決するのが一番のバリア何じゃないかと思います。
僕自身はメカいじりが好きなので、ショップで何が必要かをしっかりと聞き込み、自分で作業しました。
これまで機械式を組んだことがある人なら、技術的にはなんの問題もない作業なのではないでしょうか。
この記事を書いたのは、短距離のシェイクダウンを経て、260km超えの函館・札幌ライドでDI2を実戦投入した後です。
絶大な効果とメンテ上の利点があるので、DI2を考えている方はぜひぜひトライしてみてください!
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