先日AJたまがわさんが主催で実施されたブルベ、2022 BRM604 野辺山600に出走、無事完走しました。来年以降も続くコースかもしれないので、完走レポートを残しておきます。
いやはや、キツいブルベでした。
ざっとコースを紹介すると、二子玉川スタートで多摩川を上流に向け走り、羽村あたりで埼玉方面に北上開始。寄居を経由し藤岡で群馬入り、高崎から前橋、沼田を抜けて北上を続け、群馬・新潟県境を通過する数少ない道路である国道17号で三国峠を越えて新潟へ。
苗場をダウンヒルで超えた後、南魚沼〜十日市あたりで西進し、野沢温泉あたりで長野入りします。その後は千曲川沿いに長野県をほぼほぼ縦断しつつ、野辺山を越えて山梨へ。
甲府から笹子峠を越えて大月に入り、甲州街道を経由して神奈川へ。相模湖から尾根幹へ抜け、多摩川から二子玉川に帰還。
200km、400km、550kmでマイルストーン的なビッグクライムが用意されていて、最後まで気が抜けないキツいコースでした。
スタートはおなじみ、二子玉川兵庫島公園
AJたまがわさんのブルベに参加されたことがある方でしたら、スタート地点はおなじみかもしれません。二子玉川駅からすぐの兵庫島公園です。荷物があれば駅のコインロッカーに突っ込んでおけるし、輪行のかたにも優しいスタート位置だと思います。
ちなみにぼくはいつも通り、車でアクセス。先日西上州300kmに参加したときには、楽天本社そばのコインパーキングに入れたのだけれど、料金がなんと12時間が2,500円、高すぎっっっ。近所に住んでいる友人に聞いたところ、行善寺坂という坂を下りる前なら駐車場料金はぐっと下がるとのこと。おかげさまで今回は24時間で1,500円ぐらいのところに停めることができました。
7時00分スタート予定だったので、5時40分ごろには駐車場に車を停め、バイクを組み立て、最後に忘れ物がないことをチェックしていざ兵庫島公園へ。6時スタートの組のほうが参加者が多かった様子、ぼくは朝が苦手だからなぁ。
試走レポートを踏まえたブリーフィング、車検を受けていざスタート。
PC01まではスイスイ進む、走り慣れた青梅エリア
AJたまがわさんのコースのいいところは、スタートの二子玉川(世田谷区)から青梅あたりまでは、あまり信号のない走りやすいルートを引いてくれる点。特に多摩川沿いは、多摩川サイクリングロードは周到に避けながらも、信号峠で辟易するようなルートじゃないので意外とすいすい進んでくれます。羽村の取水堰を超えると、本格的に埼玉へ向けて北上します。
そんな感じで、PC01に設定されていた青梅岩蔵温泉のコンビニ(44km地点)にはあっさりと到着。天候は快晴、ここまでは風もなく、大きな登りもない快適なサイクリングでした。しかしまだ10分の1も終わっていません。さて、これからどんな苦難が待ち受けているやら。
PC02は80km先の高崎、埼玉をゴリゴリと北上
PC2は高崎。それまでは埼玉を北上していきます。青梅から飯能、小川町やときがわ町などは、個人的によく行くコースなので安心して走れました。また、ちょいちょい来るはずの登りも、比較的斜度の緩いところを通してくれる心遣い。
このエリア、個人的なライドでは帰りで通過してしまうことが多いので、なかなか走ったことのない道も通してくれていたので、新しい発見もありました。
高麗市なんて何度も通っているのに、高麗神社前を通過したのは初めてだった。写真をパチリ。
ときがわあたりの道は、ゆるやかな登りが時々出てくる程度の、とても走りやすい道ですね。このあたりの雰囲気はやっぱり好きだ、何度走っても気持ちがいい。
その筋の人(?)には「名前が怖い駅」で有名な、秩父鉄道「小前田駅」前を通過。
その後は美里、児玉、本庄を通過し、神流川を超えると群馬県入り。藤岡に入ると少しずつ市街地区間が増えてきて、ペースがどうしても緩んでしまいますね。
その後は県道をつなぎ、鏑川を越えて高崎入り。高崎市内でPC2に到着。この時点で122km地点。まだまだ先は長い。
PC3までには、一つ目のハイライト三国峠&十二峠の登りが待つ
PC2を超えると、いよいよ新潟に向けて本格的に北上していきます。高崎で北上というと、赤城おろしによる向かい風。この日もしっかりと吹いていました。
完走した今となっては、この高崎〜三国峠に至るまでの区間が、このブルベで最もキツかった区間のように思います。国道291号から国道17号をつないで三国峠に向かう50km、ひたすら向かい風の中、緩い登り基調の道を行く必要があるのです。三国峠の頂上でもまだ200km地点、あまりここで足を使いすぎるわけにも行かず、微妙なペース配分が要求されるのですが、とはいえ踏まないと進まない、という矛盾の中をひたすらに行く必要があるのです。
まあでも、こういうキツい区間も、初めて走る場所の景色を楽しみながら通過するのもブルベの楽しみ。そう思いながらリラックスして進みました。群馬は、鉄道系のいい感じの構造物が多いなあ。
渋川あたりで利根川と合流し、利根川上流に向けて進んでいきます。町名がみなかみ町に変わると、いよいよ登り基調が強くなっていきますが、ここはまだまだ三国峠の登り区間ではありません。
猿ヶ京温泉、赤谷湖を超えると、いよいよ本格的な登りがスタートします。
三国峠の本格的な登り区間はおよそ12km程度でしょうか。斜度もそこまでキツいわけではないのですが、ここまでの40km近い登り基調の区間でそれなりに脚を削られた状態で挑む必要がありました。そしてそこに輪をかけて襲ってくるのが、雪国特有のガレたアスファルト。速度が出ていない状態だと、アスファルトのガレにタイヤをとられたりしてしまうため、慎重に登っていく必要があります。
加えて、猿が多い!。道の真ん中で猿がくつろいでいて、車や自転車のぼくに驚いて逃げていく姿を何度も目撃。補給とかしてたら奪われるんじゃないか(笑)。
慎重にペースをコントロールしながら長い登りに耐えていると、ついに見えました、2022年3月に開通したばかりの新三国トンネルが!ようやく峠の頂上に到着。
新三国トンネルを抜けると、ついに新潟県に突入。はじめて自転車で新潟に来ることになりました。
無理しないペースで走りつつも休憩をできる限り少なくし、移動時間を増やすのがぼくのブルベスタイル。そのせいか、ここまでの登り基調で大分時間を使ってしまい、日が落ちかけていました。ここから苗場までのダウンヒルが始まります。
日が落ちかけていたせいか、とにかく寒い。ダウンヒルの途中で歯がガタガタ言っていたので、ダウンヒルの途中、道の駅みつまたでメリノのアームウォーマー、冬用レッグウォーマー、ウインターグローブを装着。
まさか必要になるとは思わなかったが、一応持ってきた装備でした。備えあれば憂いなし。
大きな峠を越えたものの、PC3までの道のりにはまだもう一つのクライム、十二峠クライムが立ちはだかります。この二つのクライムがやっぱり一番辛かったかな。
ガーラ湯沢や石打といった国内でも有名どころのスキー場を下り基調の平坦で経由しつつ、距離約4km、平均斜度6%程度の十二峠に突入するころにはすっかりと日が落ちてしまい、真っ暗でした。しかも登りの途中で工事によるかなり長い片側交互通行。信号が青の間に登り切れないので、ライトをギラギラに点灯し、目立つようにしながら慎重に登りました。
無事十二峠を超え、国道117号に合流するまでダウンヒルをすれば、PC3津南町のコンビニはすぐそこでした。PC3の距離はおよそ250km。あと50kmでおおよそ半分の地点。まだまだ先は長い。
大分消耗していたので、PC3で20分ほどの長目の休憩をとりました。
PC4、PC5で長野をほぼほぼ縦断
続く約170kmで、野沢温泉〜飯山〜長野〜上田〜小諸と、千曲川沿いにほぼほぼ長野を縦断することになります。新潟・長野県境を越えたのは21時46分、すでに真っ暗闇。長い長い夜行のスタート。
実はここでトラブル。三国峠からの荒れた舗装のダウンヒルで、サイコン(GARMIN Edge 1030)本体のツメが折れてしまったようで、サイコンがマウントにうまく固定できない事態に。ストラップでハンドルに巻き付けておいたため落下はなんとか回避できました。リアライトを固定するためにたまたま持っていたモビロンゴムを使ってなんとか固定するものの、拡張バッテリーとの接点がズレるようで、路面の強めの振動があると「外部バッテリがロストしたよ〜」→「充電を開始したよ〜」というアラートがひたすら鳴り続ける事態に。あぁぁぁ鬱陶しい!
長野エリアは夜中通過だったため、写真は少なめ。飯山では、以前シクロクロスの全日本選手権前日のエキシビジョンナイターに出場したときに、あまりの寒さに服を購入したファッションセンターしまむら前を通過。ああ懐かしい。
中部地方の代表都市である長野駅は大きかった。久しぶりに街灯のある大きな市街地で少しほっとしました。市街地のコンビニでPC4を通過。
その後千曲、上田といった長野県内の主要な都市を黙々と通過。途中の上田で猛烈な眠気に襲われ、時間に多少の余裕があったためネットカフェの快活CLUBで仮眠と休憩を試みるも、残念ながら空き室なしで頓挫。目薬を大量に垂らして缶コーヒーを飲んだら眠気もどっかにいったので、そのまま走り続けました。
朝5時、小諸の379km地点のPC5に到着!この時期、朝3時くらいからなんとなく空が白くなり始め、5時にはもう大分明るくなっていました。が、なんかポツポツと…寒さも感じていたので、念のためここで冬用装備から雨用装備に変更。
が、まだ完全に降る感じではなかったので、ゴアテックスのジャケットだけを着て、シューズカバーとグローブカバーはしないで様子見としました。
目指すは次のピーク、野辺山へ
小諸から先は、もう一つの戦い、長野・山梨県境の野辺山越え。臼田あたりでJR小海線と合流すると、あとは鉄道に沿って南下します。佐久平〜八千穂〜小海〜松原湖と続くこの区間がとにかくキツい。30km以上登り基調の平坦道。斜度は高くとも2%とかなのですが、ここまで400km以上走った脚には十分すぎるきつさ。とにかくここも、長い長い我慢の時。
唯一の救いは天候が回復したこと。小海のあたりではついに太陽が出てきて、気温が大分上がってきたように感じました。
小諸の時点で想像していた最悪のシナリオは、雨の中レインウェアを着て野辺山のヒルクライムをして、汗をかいて気温も上がらない中長い甲府へのダウンヒルを下らなければいけない事態。それはなんとか回避できました。
南牧村に入ると、いよいよ野辺山への本格的な登り区間。が、天候が回復したことにより風景が楽しめるようになり、遠くに八ヶ岳を望むこの区間は、そこまで苦しくありませんでした。野辺山はシクロクロスの大会も行われる場所で何度も来たことがあるってのも大きいのかな。
やはり小諸から小海までの微妙な登り基調の平坦道のほうが退屈且つ断然キツかった。だってほら、景色きれいだと心が洗われるじゃん!
そんなこんなで気持ちよく野辺山を走っていると、通過チェックポイント。JR鉄道最高地点の標と自分のバイクとを一枚の写真に収めます。
ここからは、甲府までのおよそ40km、ダウンヒル&下り基調の平坦同区間。脚を休めましょう!
もう一つの通過チェック、笹子峠が最後の登りポイント
甲府までは足休め区間なのですが、実はこのブルベがきついのはまだ大きめの登りが残っているところ。通過チェックポイントにもなっている、笹子峠のヒルクライムです。
甲府市内から旧甲州街道に入ると、またここから登り基調の平坦がスタート。旧甲州街道は果樹園(といってほぼブドウだけだけど)がいっぱいできれいな道なのですが、そこはやはり市街地。信号はあるし、登りはある。ここも微妙に我慢が続く区間でした。
笛吹〜甲州市に入ると、旧R20の登りもだんだんとキツくなり、県道指定に変わった道に入るといよいよ笹子峠のヒルクライムがスタート。中央高速では笹子トンネルでサクッと抜ける笹子峠ですが、かつては甲州街道でも有数の難所だったようで、峠の手前10kmあたりにはその名残の集落が。当時は「駒飼宿」という名前だったそうな。
笹子峠自体、初めてではありません。斜度はそこまで辛くはなく、距離も6km程度の峠というイメージでしたが、そのまえに500kmも走っていると話は別。辛いのなんのって。斜度6%でインナーローが回せないぐらいまで消耗しており、斜度が上がったらひたすらインナーローでダンシングで耐える。そんなヒルクライムでした。幸い、笹子峠は残り距離をわかりやすく表示してくれているので、それを目安になんとか耐えていく。
6kmの道のりがここまで長く感じたのは初めてでしたが、ひたすら耐え続け、なんとか笹子峠の頂上に到着。ここも通過チェックになっているので、トンネルとバイクを一枚の写真にパチリ。
大月から国道20号でラストPC、相模湖〜尾根幹〜多摩川沿いにゴールへ
笹子峠を超えれば、大きな登りはほぼ終了。笹子峠を気持ちよくダウンヒル。
国道20号はこれまでも何度も走ったことがあり、安心感があります。20号はすごくわかりやすい。たいてい、内陸の町から都市部へ抜けるときは標高が下がっているもの。そして町と町の間には峠がある。そんな構造に素直に作られている道なのです。
なので、町と町の間では登るのだけれど、その登りを超えると、次の町まではひたすら下る。その下りがそれなりの距離あるので、その間に脚を休められるのです。笹子峠からゴールまではおよそ100km、まだまだ距離はあるのですが、それがわかっていたので心が落ち着いて走ることができました。
そのまま国道20号で大月、上野原を超え、神奈川県に突入。藤野のあたりで最後のPC(549km地点)を通過。そこから相模湖を抜け、412号と県道で城山湖、津久井湖を抜け、町田街道に合流。その後尾根幹に入り、稲城を通過。このあたりのルートは勝手知ったるものなので、写真を撮ることもなくひたすらゴールに向けてペダルを回しました。
そんな感じで午後7時ちょっと前、35時間53分でゴール地点の二子玉川・兵庫島公園に帰還!ブルベカードに時間を記載し、メダルをゲット!
まとめ:キツいコースでした
というわけで完走しましたが、まあ辛いコースでしたよ。ヒルクライムが多いというよりも、とにかく長い長い登り基調の平坦道ががっつり脚を削りに来るコースです。
下図は走りきった後のSTRAVAのコースプロファイルです。
200km地点、440km地点、500km地点にそれぞれ標高1,000mを超えるまで登るのはわかりやすいのです。が、三国峠の登りは140km地点ぐらいから、野辺山の登りは380km地点からすでに始まっているのです。このあたりまだ市街地で車通りも多い区間だったりするので、こうした登りをこなしているとガツガツと脚がなくなっていくんですね。それぞれの登りは全然いいんですが、それまでのつなぎ区間がとっても辛いんですね。
最後の笹子峠はもう完全に脚は残っておらず、筋肉が溶けている感じでした(笑)。
とはいえ、景色もそこそこいいですし、休憩ポイントも多く、かつ全線に渡って鉄道がそばを通っているため、DNFもしやすいコースですので、ちゃんとペースを考えて走れば、完走の難易度はそこまで高くはないかと思います。
ブルベはレースではありません。40時間をしっかり使って、ちゃんと休憩(特に仮眠)をできるようにペース配分をすれば、ブルベらしさを楽しめるコースだと思います。
最後に走行ログを貼っておきます。結局獲得標高は5,800m近くになりました。GARMINのルートでは4,400mになっていたので、獲得標高詐欺にあった気分(笑)ですが、非常に達成感のあるブルベになりました。
これで300km、400km、600kmを完走。あとは200kmでSR達成です。
装備については、また改めて別エントリでご紹介する予定です!
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