房総の素掘トンネル巡りと大戸の洗い越しライド

千葉・房総。高い山はないけれど、アップダウンがかなりあるうえ、海岸線の市街地から少し行っただけで多くの田園風景を楽しめるエリアです。今回は、房総半島内陸部に無数に存在する素掘りトンネルを巡り、その筋のかたには有名な大戸の洗い越しを見に行くグループライドに参加してきましたのでご報告をば。

目次

CANYON INFLITE + HUTCHINSON BLACK MAMBA CXで参戦

今回探訪する素掘りトンネル群や洗い越しは、千葉県市原市、隣接する大多喜町やいすみ市に密集しています。そのため、市原市にあるJR内房線の駅、五井駅がスタート地点。自宅からだと、武蔵小金井まで出てしまえば、時間は掛かるものの乗り換えの手間は少なく電車で行くことはできます。が、スタート時の天候は雨、グラベルが多め且つ素掘りトンネルの多くが内部で湧き水があり、ドロドロになることがはっきりしていました。ので、シクロクロスレースと同様に高圧洗浄機を持って車で集合地点まで行きました。

集合地点となったJR内房線・五井駅

ロードバイクではなく、シクロクロス兼グラベルバイクとして運用しているCANYON INFLITEにて参加。HUTCHINSONのBLACK MAMBA CX (700x34c)を履いたDT SWISS P1800 SPLineを装備。グラベルはあるものの基本は舗装路のため、4barほどの空気圧で調整しました。

HUTCHINSON BLACK MAMBA CXを履かせたCANYON INFLITEで参加

実は前から買ってあった簡易フェンダーのASS SAVERですが、今回はじめて投入してみました。知り合いからは、「ん〜、内よりマシだけど」と言われたことがあるのですが、これが意外と効果的でした。スタート時点は雨が降っており、もちろん路面はウェット。通常であれば、走って30分もすれば後輪からの巻き上げでお尻が濡れてくるのですが、ASS SAVERの名前の通り、お尻はしっかりと守ってくれました。が、走った後のジャージを見る限りでは、背中まで到達するような巻き上げは防げない模様。

ASS SAVERには大きめのサイズもあるようなので、それをチョイスすればもっとブロックしてくれる範囲は広くなりそうです。

序盤は千葉の田園風景をのんびりと走行

目指すのは房総半島の内陸部。スタートの五井駅は臨海地域にあるため、序盤は大きな道を避けつつ、千葉の田園を風景の中をのんびりと進みます。雨は午前中はパラパラと降り続ける予報で、時折来る強めの雨模様は木陰などでやり過ごしました。

千葉の内陸部には田園風景が広がる

内陸部に少し入ると水田だらけ。スーパーなどでは千葉県産のお米をよく見ますが、房総エリアを走るとその理由に納得しますね。

水田がかなり多い

また房総の内陸部は、鉄道好きにもたまらないエリアのようです。
国鉄の時代に、外房の大原から内房の木更津までを結ぶ鉄道として計画された木原線という路線がありました。途中まで開通したものの需要が高まらず、存廃議論の末に1988年に第三セクター・いすみ鉄道に引き継がれました。そのいすみ鉄道の終点である上総中野駅と、出発地点であるJR五井駅とを結ぶ小湊鐵道も走っており、鉄道ローカル線の宝庫とも言えるエリアのようですね。

この日は、たまたまSLチックな特別電車が走っていました。上総牛久駅で遭遇。

上総牛久駅で遭遇したSLチックな電車

その後も水田エリアや川沿いなどを走りながら、内陸部にどんどん向かっていきます。

水田エリアを進み内陸部へと進んでいく

いざ素掘りトンネル群へ

時折来る強めの雨をやり過ごしながら走ること1時間半ほど、いよいよ素掘りトンネル群が姿を現します。普通のトンネルのように、ひとつひとつに扁額やらトンネル名やらは付いていないことが多く、ほとんどが名もなきトンネル。

どうも推定で明治期に掘られたトンネルのようで、このトンネルは観音堀りという仕様で作られたもの、とのこと。

最初に現れた素掘りトンネル

まじまじとトンネル前の壁を見てみると、水がしみ出しています。が、ちょっと触ったぐらいでは手が泥だらけになることもなく、すごく保湿性の高い土のようですね。粘土質なので、トンネルが掘りやすかったのかもしれません。

水がしみ出しているのに、触っても泥だらけにはならない不思議な粘土質

いざ、トンネルの中を通行。このトンネルは照明が付いていて、なかなかにいい感じの雰囲気を醸し出していました。
軽自動車なら走れるぐらいの幅がありますが、気をつけないと擦るね。

素掘りトンネルを走行

その後も出るわ出るわ、素掘りトンネルのオンパレード。
こんなのとか

こんなのとか。

だいたいほとんどのトンネルが、トンネル内部の壁はゴツゴツしていて、チマチマと掘っていったんだなあと実感します。

トンネル内部の壁

月崎駅・森ラジオで休憩し、さらに素掘りトンネルを巡る

素掘りトンネルを一通り味わった後、小湊鉄道の月崎駅あたりで休憩。ここには、かつて保線用に使われていた小屋を苔で飾った「森ラジオ」という作品?が展示されています。こういう観光資源を作ろうとするローカル鉄道の努力、恐れ入ります。

小湊鐵道・月崎駅にある「森ラジオ」

駅舎内部には風鈴がたくさん飾ってあり、とてもいい音色を奏でていました。

月崎駅舎に飾られたたくさんの風鈴

月崎でしばしの休憩を取った後は、さらなる素掘りトンネルの旅へ。比較的有名なトンネルはこれ。ぱっと見は普通のトンネルに見えるかもしれませんが、

普通の2連トンネル?

実はこのトンネル、もともとは一本だったものが上が崩れてしまい、天井が空いてしまった様子。なかなかに珍しい風景。

天井が崩れて穴が空いた?

その後もどんどん素掘りトンネルが現れます。

超短いトンネル

林道月崎1号でグラベル&素掘りトンネルを楽しむ

その後、自然保護区であるいちはらクオードの森あたりで、結局は突き当たる林道月崎1号線へ。ここは未舗装で午前中までの雨でドロドロになっていたため、グループの中で行きたい人だけが突入。
ここは3つの素掘りトンネルを通過すると、不思議な突き当たりになっていました。

林道月崎1号線の第一トンネル
林道月崎1号線の第二トンネル
林道月崎1号線の第三トンネル

第三トンネルのあたりで沢ガニ(?)を発見。川でもないのにカニがいる時点で、いかに水分が多めのエリアであることが分かっていただけるかもしれません。

沢ガニ?を発見

いざ、大戸の洗い越しへ

一通り素掘りトンネルをおなかいっぱいまで楽しんだ後は、養老渓谷〜大喜多町を抜け、本日のメインディッシュ、大戸の洗い越しへ。普通、道が川を越えるには橋が架けられます。が、橋ではなく、川の下に道がある状態のことを洗い越しというらしい。たいていは橋があったけど流されてしまった、などの理由があるようです。

全国にも数カ所あるようですが、大戸の洗い越しのすごさはその規模。
わかりますかね。写真真ん中、川の中に一部黒く見える道が対岸まで続いています。向こう側に行くためには、この川の下に通っている道をいくわけです。

大戸の洗い越し

ライドの午前中も雨が降っていて、さらにその前日にはかなりの雨が降ったようで、過去にここに来たメンバーからは「過去最大の水量」と言われていました。果たしてこれを自転車で渡れるのか。

念のため、靴を脱ぎ歩いて渡ってみたところ、一部に深いところがあるものの、リムハイトの低いぼくのバイクであれば渡ることは可能と判断。靴を濡らしたくなかったので裸足でバイクに乗ってみましたが、裸足でSPDペダルを踏むと痛いのなんの。深さ的には間違いなく足首までは水没するので、靴を全濡らしの覚悟を決め、突入!
ゆっくりすぎると逆に危険なので、ある程度スピードを上げつつ、がっつり渡りました。

渡った後対岸を眺めてみると、いいおっさんたちが水遊びをしているシュールな画がww。

水遊びをするおっさんたち

いやはや、なかなかに貴重な経験をしました。

その後は、林道や水田地域をつないで五井駅に帰還

洗い越しというメインディッシュを楽しんだ後は、五井駅に帰還するだけ。
行きに通った道を周到に避けつつ、林道や水田地域を進んで北上します。

大通りよりも林道を走るほうが数倍気持ちよい

日も大分傾いてきて、木々の隙間から見える太陽が美しい。

木々の隙間から太陽が覗く

冒頭にも行ったように、千葉にはあまり高い山はありません。千葉県内で最も高い愛宕山ですら、標高が408mしかなく、県内最高地点が最も低いのが千葉県なんだそうな。
今回のライドでは、山登りはなかったものの、なんだかんだとアップダウンが多いエリアなので、結局獲得標高1000mオーバーのライドになりました。

とはいえ、素掘りトンネルと洗い越しという、すさまじくパンチのある風景と走行体験を得られる房総半島、なかなかあなどれませんな。

なお、素掘りトンネルのほとんどは内部で水がしみ出していて、天候にかかわらず路面はウェットです。舗装されていない部分も多々あるため、汚れるのがいやな方は冒頭に書いたASS SAVERやフェンダー(泥よけ)を付けて走ることを推奨します!
まあ、ふだんのシクロクロスレースに比べれば、ドロドロ度はかなり低いので、ぼくは全く気になりませんでしたが。

この日の走行ログ

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