CANYON INFLITEを機械式 SRAM RIVAL 11速から無線電動FORCE AXS D2に変更した話

SRAM FORCE AXS D2に換装されたCANYON INFLITE SL 6.0 (2019)

CXレース/グラベル用バイクとして運用しているCanyonのInflite、完成車ママのRival 1機械式で運用していました。が、コンポを電動化したいとずーっっと思っていました。

機械式SRAMと言えば、ダブルタップレバー。フロントシングルなので、左のレバーはただのブレーキ。リアのシフトアップ/ダウンを右レバーの押し込み量によって変化させる仕組み(1段階押し込むとシフトアップ、2段階押し込むとシフトダウン)です。

ワタクシ、右手首に持病があります。若いころに原付の事故で右手首の骨にダメージがあったのを見逃してしまい、変な風に骨がくっついてしまっており、手首を深く動かすと痛みがあるのです。この古傷とダブルタップの動きが非常に相性が悪い。特にシフトダウンの際に、「痛っ!」となんです。なので、ずっとeTapへの変更の機会を狙っていました。

目次

SRAM FORCE AXSの仕様をまとめよう

日本のメーカーであり、かつ流通量の多いSHIMANOに慣れていると、舶来品で流通が限られているSRAMはヒジョーに買いにくい。特にショップを頼らず、自分でパーツを取り寄せて組み上げるぼくのような貧乏人にはなおさら。

なんといっても、過去のモデルに関する情報が体系的にまとまっていないのがイタい。QuarkのクランクからRedのクランクを交換したときにも、持っているRedのクランクがどの世代のものであり、何と互換性があるのか全然わからず、結局現物合わせでしのぎました。まあ、AXSシリーズ以降は、しっかりとドキュメントはまとまっているんだけどね。

ちょうどFORCE AXS D2が発売したこともあり、旧FORCE AXS(D1)、FORCE AXS D2とFORCE AXS XPLRという3種の製品が同時に流通している状態。ので、まずは要件を以下のように整理し、何をオーダーするべきかをがっつりと悩むことにしました。

  • CXレース用として、36Tのカセットはほしい
  • フロントはシングル(CXレース中にフロントをごにょごにょする余裕もないし、チェーン落ちも怖いし)
  • クランク(Red 5アーム+Wolftoothのチェーンリング)は変えたくない(変える金ない)
  • D1/D2は問わないがFORCEグレードがほしい
  • グラベル用に、36Tよりも大きいカセットがあるとなおよい
  • ホイールは3セットあるので、カセットは3つほしい

さんざん調べた結果、以下の感じでした。

SRAM FORCE AXSのリアディレーラーについて

  • FORCE AXS D1のリアディレーラーはショートゲージ、ミドルゲージの2種類がある
  • D1のショートゲージはリア33Tまで、ミドルゲージは36Tまでの制限あり
  • FORCE AXS D2はゲージは1種類で36Tまで対応している
  • それ以上の大きいカセットはFORCE AXS XPLRのリアディレーラーが必要
  • だが、FORCE AXS XPLRはフロントシングル専用
  • リアディレーラー単体で購入するとバッテリーは別売(←ここ注意。むろんチャージャーもさらに追加です)

SRAM FORCE AXSのシフターについて

  • FORCE AXSのシフターは、D1/D2ともに互換性がある(D1のシフターでD2のディレーラーを動かせる)
  • フロントがシングルだろうとダブルだろうと、シフターは同じものでよい(フロント制御用のボタンはあるけど、電子制御で無効にしておけばいいだけ)
  • シフターは1種類のため(互換性を気にしなければ)将来的にフロントディレーラーを追加し、ダブルで運用することも可能
  • 機械式時代の油圧ブレーキキャリパーとの互換性は不明(すでに組んだ後である今振り返ってみると、オリーブやコネクトインサートなどは共通だったので、おそらく使えるような気がする)。が、レバーとキャリパーがセットで販売されているので、いっしょに買ってねということ

てな感じだったので、予算とにらめっこしながら、以下のパーツを買うことにしました。チャージャーが付属しないのはSONY製品で慣れているけど、リアディレーラーにバッテリーが付属しないのはマジでビビった。

FORCE AXS D2 レバー&ブレーキキャリパー(2つ:前後それぞれ)
FORE AXS D2 XPLRリアディレーラー
SRAM純正バッテリー
RIVAL 12速カセット 10-36T(2つ:ドライタイヤホイール用・ウェットタイヤホイール用)
RIVAL 12速カセット 10-44T(グラベルホイール用)
RIVALフラットトップチェーン(2本:36Tカセット用・44Tカセット用)

以上、約25万円也。いつものCROWNGEARSさんで注文しました。

6月の注文時に「納期9月です」といわれたのもビックリしたし、そう言われたのにもかかわらず、2週間ぐらい発送されたのにもビックリ。SRAMさん、やっぱり代理店どーにかしたほうがいいと思うよ…。

到着したSRAM FORCE AXS D2(フロントシングル仕様)一式
納期が2ヶ月近く巻きで着弾した、SRAM FORCE AXS D2一式

CANYONのスモールパーツの注文も必要

機械式から無線電動になるということは、ケーブルルーティングのためにフレームに空いている穴を埋めるためのスモールパーツも必要になる、ということ。CANYONのカスタマーセンターに連絡をし、適合するパーツを確認しました。

  • リアディレーラー側の穴を埋めるグロメット:チェーンステーエンドプラグ穴無し:146697(PCYC BlindPlug WL EP0657-01 for CS)1個
  • フレーム前方のシフトワイヤー穴を埋めるグロメット:シフトブラインドプラグ:104729(C E237-15 BLIND PLUG)2個
  • フロントディレーラー側の穴を埋めるグロメット:BB下ブラインドプラグ:106424(CAYN BB Plug EL E403-16) 1個

日本のカスタマーセンターからも買えるのですが、後述する理由のためさらに追加でスモールパーツが必要になったため、結局本国のサイトから購入しました。

バラしてビックリ、コラムが破損!

あまりの衝撃にびっくりしてしまい、写真を撮るのを忘れてしまっていました。事件はハンドルを取り外したときに置きました。なんと、コラムが破損していました…(涙)。

INFLITEはケーブル完全内装のバイクではないので、コラムは一般的な円形のものです(多くのメーカーは外径28.6mmのコラムですが、CANYONは外径31.8mmのコラムです)。円形のはずなのに、ケーブル内装式のようなD型コラムのように変更してしまっていました。完成車状態ではアルミのステムとハンドルが付属していたのですが、これをCANYON純正のH31 Integrated Handlebarに変更していましたが、こいつとの相性が悪かったんだと思います。

なんでこうなったかというと、Canyon H31 ハンドルの固定方法に原因があります。一般的なステムは、真後ろではなく、横方向にボルトを締めて、円形全体で締め付ける形を取ってますよね。しかしこのハンドルは、写真の通り、真後ろに固定用のボルトが取り付けられています。

レース後のCANYON INFLITE
ハンドルの真後ろに固定用のボルトが見える

このボルトの先には、以下のようなパーツが入っており、このパーツがコラムに押しつけられることでハンドルを固定しています。

Canyon E436-16 Cockpit Clamping Insert H31
Canyon E436-16 Cockpit Clamping Insert H31

(写真銀色の部分に、ハンドルのボルトが当たる)横方向からボルトを締めてコラム円形全体にテンションを掛ける通常のステムと異なり、ハンドルの後側一方向からテンションをかけるわけです。当然、ブレーキを掛けて荷重が前側にかかった場合も、この部分に集中的に荷重がかかってしまう。

しかもなぜか、CANYONのプレッシャーアンカーは、アルミコラムのスターファングルナットのように、コラムのある程度深い位置に納まる仕様になっています。コラムの空洞になっている部分にハンドルが取り付けられ、固定圧や通常使用による加圧を、一方向から受け止めることになってしまう構造なワケですね。

CANYONもこうした設計ミスを把握しているのか、こんなパーツを後から出しています。

Canyon EP1297-01 Wedge Extension
Canyon EP1297-01 Wedge Extension

コラムの先頭にこのアルミパーツを入れることで、コラムを円形に保つようにしているわけ。
少なくとも、H31を購入した際にこのパーツは売っていなかった。パーツ締め付けのトルク管理もしっかりとやっており、オーバートルクにしたつもりは一切ないため、個人的には設計ミスだと思ってます(マチューがハンドルを折って、ハンドルまわりのリコールもあったしね)。が、自己責任で完成車の状態からカスタマイズしているわけで、文句を言うのも野暮ってもんです。

幸い、悪路でコントロールしやすいよう、コラムを一切切らずに運用しており、今回のばらしでコラムをカットしようと思っていたので、破損していた部分をすっぱりと切り落とし、事なきを得ました…。

というわけで、SRAM FORCE AXSの調達以外にも、CANYONへのスモールパーツの発注で5,000円ぐらいの追加費用がかかってしまいましたとさ。

ホイールのフリーボディも変更が必要

みなさんご存じの通り、11速時代、SHIMANOとSRAMのフリーボディは共通でした。が、12速になってからは、10Tという小さな歯数のコグを持つために、SRAMのフリーボディがXDRという仕様に変更されています。そのため、カセットを取り付けるためにはホイールのフリーを変更せにゃなりません…。まだまだ費用が掛かるというわけです。

INFLITEは3本のホイールで運用をしているので、それぞれのフリーボディを取り寄せました。

FFWD OUTRIDEホイールのXDRフリーボディを探す

FFWDのホイールは、上位モデルはDT-SWISSのハブを採用しています。が、エントリーモデルであるOUTRIDEは、FFWDオリジナルの3爪(3-pawl)タイプのフリーを採用しています。
FFWDの日本代理店はコロコロ変わってしまっていて、探していた時に代理店をやっていた会社も、すでに代理店業務を停止してしまっていたとのこと(そもそもOUTRIDEは国内の取り扱いがなく、今はなきWiggleで購入したものでした)。FFWDがいうところの”Ratchet EXP”はDT-SWISS互換のスターラチェット、EXPがつかないただの”Ratchet”は伝統的な3-pawlタイプのラチェットです。

よく使うBikeinn在庫を発見し発注。海外通販が死にかけている現在でも、リーズナブルなプライス&送料で買えるBikeinnはお気に入りのサイトです。写真はRatchet EXPのものになっていますが、3-pawlのものがしっかりと送られてきました。約10,000円なり。

Mavic Aksium Elite USTのXDRフリーボディを探す

こいつが一番苦労しました。Mavic、海外通販の取り扱いは多いものの、スモールパーツの流通は驚くほど少ない。国内の代理店はしっかりしているので、最悪お店に発注すれば良いかと思っていたのですが、国内流通品はちょっとぼりすぎですよ、価格…。結果、たまたまヤフオクに出品されていたので、これをゲット。

安いアルミホイールですが、上級グレードでも使われているID360という規格のフリーボディです。ようはMavic版スターラチェットですね。ラチェット音が小さいので、けっこうお気に入りのホイールです。約5,000円なり。

DT-SWISS SPLine P1800のXDRフリーボディを探す

こちらも安いDT-SWISSのホイール。スターラチェットではなく、3-pawlタイプのフリーボディです。

こいつはすごく簡単でした。はい、互換品です。ディスクブレーキ用ホイールは、DT-SWISSハブが一人勝ち状態ですので、中華に互換品がゴロゴロ転がっています。Sellerの評価をみて、良さそうなところに発注しておしまい。4,000円ぐらいでした。

どのホイールも、フリーボディの取り外し・取り付けはすごく簡単。エンド幅を調整するキャップを引っ張って外し、フリーを引っ張れば外れます。で、バネの向きを確認しながらポコッとはめるだけ。

ついでに、ロードで使っているHUNTのpawlタイプのXDRフリーがメルカリに出品されていたのを発見。将来使うかもしれないので、買っておきました。

シクロクロスは泥だらけ&落車多め、グラベルでは悪路や砂利道、岩だらけの道を走るので、必然的に傷やダメージを受けることになります。ので、ホイールは安いのを使ったほうが精神衛生上いいんですよね。

なんだかんだ総額で30万円ぐらいかかっている。まあ、イカれてますよね、感覚が。

というわけで組み立て!

パーツが全部揃ったので、組み立てです。ついでにオーバーホールもしたので全バラしていますが、組み立ては手慣れたもんです。オイルホースの内装だけはどうしても苦労することになりますが、FORCE AXSは無線電動なので、シフト関係のワイヤリングは一切なし。CANYON H31 ハンドルは、下部の溝にホースを沿わせるだけなので、地獄のようなハンドル内装の作業も必要なし。

ブリーディングは鬼門の一つですが、SRAMの純正ブリーディングキットはよくできていると思う。某S社の前モデルのブリーディングキットが酷かったのでなおさらその印象があります。

SRAM ブリーディングキット
SRAMのブリーディングキットはよくできていると思う

動画を見て、その通りにやれば大丈夫でしょう。マニュアルもしっかりと用意されていて、このマニュアルのBleeding Edgeを使った方法に沿えば大丈夫なはずです。ポイントは、シリンジにオイルで満たした際、クランプを止めた状態でシリンジを数回ひっぱり、シリンジ内の空気をよく抜いておくことです。

組み上がって、乗り出し!

というわけで組み上げは端折って、完成しました!まずは通勤でテストライド。

FORCE AXS D2で組み上がったCANYON INFLITE SL 6.0 (2019)
FORCE AXS D2で組み上がったCANYON INFLITE SL 6.0 (2019)

FORCE AXS D2から採用になったホログラムのロゴがイケてますね。

FORCE AXS D2のシフター
FORCE AXS D2のシフターについたホログラムのロゴがかっこいい

ホースが新品になったせいか、少し乗っているとブレーキがぬるいような気がしたので、帰ってから再度エア抜きをして完成しました。

完成後、トレイルを走りに行きたくなり、裏尾根幹へGo。が、トレイルはやっぱり、真夏に行ってはダメ。好き放題生える雑草と虫との戦いになります。特にメマトイ、おまえはほんとに邪魔だ。

気分が上がって、真夏なのに裏尾根幹トレイルへ
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